ヤングケアラーと生活保護がテーマのドラマ「むこう岸」

安田夏菜さん著書「むこう岸」が原作。「日本児童文学者協会賞」「貧困ジャーナリズム大賞特別賞」などを受賞した小説のドラマ化。

ヤングケアラーと生活保護がテーマ、いつから?あらすじは?

NHK総合 5月6日月曜 午後21:30~22:43 特集ドラマ「むこう岸」

裕福な家庭で育った和馬と病気の母と幼い妹と暮らす樹希は生活保護受給家庭。対照的な二人が出会い、お互いのあちら側とこちら側を描くドラマ。

和馬は私立中学を落ちこぼれて、公立中学に転向してくる元・優等生。樹希や口のきけない少年・アベルと知り合ったことでカフェのマスターが子供たちに開放している小さな居場所を見つける。

理不尽な世の中に疑問を持ち「生活保護手帳」を読み解くことで、何か解決策がないかを模索していく。

ヤングケアラー、生活保護、貧困を子供たちの視点でわかりやすく読み解いていくドラマ。

サブタイトルが「もと優等生ボーイ・ミーツ・生活保護ガール」です。

ユーモア溢れるサブタイトルにクスッと笑ってしまいました

ヤングケアラーと生活保護がテーマ、キャストは?

中学生が中心になっているドラマでキャストは新人俳優が多く出演しています。

山之内 和馬 西山 蓮都 私立中学を落ちこぼれ、遠い公立中学に転向してきた中学3年生
佐野 樹希 石田 莉子 病気の母と幼い妹と暮らす生活保護家庭。和馬のクラスメイトになる
渡辺 アベル サニーマックレンドン 父親からのDVの影響で話すことができない
城田 エマ 前田 あおい 樹希の幼馴染、和馬とクラスメイトになる
山之内 真 岡田 義徳 和馬の父、医者で
佐野 美希 酒井 若菜 鬱病とパニック障害を抱える、樹希の母
深水兼人 渋川 清彦 カフェのオーナーで、子供たちに場所を提供している
宇佐美紘一 森永 悠希 樹希の家を担当しているケースワーカー

主人公の和馬と樹希役の二人、なんだかすごい演技力の予感です。

ヤングケアラーと生活保護がテーマ、予告編を観てみた

NHK公式サイトの予告編を観てみました。なんだかすごい、樹希ちゃんの迫力。生活保護を受けていることで学校や周りの大人から、怠け者だの、働かなくてもお金がもらえるだの、奇異の目で見られてる様子。

生活保護=ズルして楽してお金をもらってる、という間違ったイメージを解いていくドラマの予感。もちろん、なかにはそんな人達の話も聞いたことはありますが、受給者の人全員がそうでなはい。

家庭の貧困の為に、将来の夢をあきらめなければならないなんて、そんな世の中間違っている、というメッセージが聞こえてきそうな予告編でした。

和馬君のお父さんと対峙する場面も迫力満点。若いってすごいエネルギーですね!

子供たちの夢と希望に溢れる未来の為に、子供達自身が行動していく力強いストーリーの予感。

放送までが楽しみです。

ヤングケアラーと生活保護がテーマ、ヤングケアラーって何?

ヤングケアラーと呼ばれる人は以下に該当する18歳未満の子供のことです。

  • 障害、介護など介助の必要な家族の世話をする
  • 病気やその他の事情で働くことができない親の代わりに労働をする
  • 家族の事情で幼い兄弟の世話ができない状況下で、子供が子供の世話をする

でもこれって、家族のお手伝いとヤングケアラーの区分が難しいですよね。兄弟のお世話をするのは労働ではなく、お手伝いや家族との関わりだったりしますよね。

幼いころから、お手伝いなのか介護なのか判断もつかないまま日常生活の一環として行われることを、「ヤングケアラー」と再認識することは難しいことです。

中学2年生の約17人に1人がヤングケアラー

令和3年に文部科学省と厚生労働省から公表したされた「ヤングケアラーの実態に関する調査結果」では17人に1人という結果が出ています。あくまでその当時の表面的な結果なので、本来の数字は未知数です。

行政の支援が不十分な状況

支援には福祉や教育などいろんな観点からの判断・支援が必要と考えられ、行政での管轄部署が複数になるのでいまだ調整が困難な状態です。発見や判断が難しく、支援が必要な子供の特定が難しい問題です。

例えば、両親共働きで介護の必要な祖父や祖母がいた場合、どうしても介護を手伝わないといけない子供はヤングケアラーなのかと言われると、どう判断するのでしょうか。

ヤングケアラーと生活保護がテーマ、なぜヤングケアラーになるの?

どこまでが、お手伝いでどこからがヤングケアラーなのか。線引きが難しい問題です。

ヤングケアラーと特定される場合の事由例

  • 生活規則の乱れ、睡眠不足、健康を害す
  • 家族以外の知人、友達との交流が少ない
  • 学校生活、勉学に悪影響がでる
  • 進学や就学の制限がでてくる

など、多岐にわたります。

核家族、ひとり親、孤立する家庭が多くの原因

核家族化が進み、一人っ子、一人親、相談したり頼ったりする祖父母や親せき、友人知人が周囲にいないなどが要因のひとつと考えられています。

また、他人に迷惑をかけたくない、知られたくない、などの理由で家庭内だけで抱え込んでしまう場合もあります。

行政の取り組み

学校で定期的にカウンセラーを置き、家庭内の問題を社会福祉の観点から支援する働きが増えています。

テレビでの特集番組やCMなどで広報活動を行い、ヤングケアラー認知度を高め、社会で支える活動が増えています。

私たちにできること

専門家や行政が動くことは当然のことですが、私たちにできることは、学校や近所での子供の行動や異変に気が付き、手を差し伸べる気持ちを持つ事がとても重要だと思います。

他人の家庭のことに踏み込むことはできませんが、例えば学校の先生に伝えたり、町内活動の役員の人に伝えたり、匿名で行政に知らせたりと、私たちにできることはあります。

現代社会は核家族、隣の人も知らない、冷たい世の中、と思いがちですがそうではありません。人間は慈愛があり、助けてくれる人はたくさんいます。そして、自分が助けられる人になることが大切です。いつ自分も助けてもらう立場になるかわからないのです。

※こども家庭庁のウエブサイトでは特設サイトが設けてあります。

ヤングケアラーと生活保護がテーマ、生活保護って何?

生活保護というとあまり良いイメージがないかもしれません。ニュースや媒体なのでは、不正に受給する人のことが取り上げられています。しかし、生活保護は本来、日本国民の権利です。

厚生労働省に管轄され「生活保護制度」というのものがあります。

日本国憲法第25条の「生存権」の理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、最低限の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とした法律です。内閣府のHPより引用

生活保護を受給するにはさまざまな条件があります。例えば資産があるか、労働できるか、年金が受給されているか、などさまざまで審査があり、支給額は様々な形で個々に資産されます。

例えば、知人の例ですが、

  • 持ち家などの不動産の資産を所有していなかった
  • 末期のガンと診断され、高額な医療費がかかる
  • 預貯金も治療費の為、ほとんど使ってしまっていた
  • 病気の為就労が不可
  • 扶養してもらう家族が不在(独身・子供はいない)

このような状態だったので、生活保護を申請し残っていた預貯金等の流動資産を納付したうえで生活保護を受給し医療費は無料となりました。(詳しい内容はわかりません)

知人は、行政が手配してくれた町営住宅に住み、つつましく余生を送り逝去しました。葬祭費用もでたようです。(生活保護受給者用の簡素な葬儀)

様々な理由で就労につけず、本当に貧困な人も日本国内にたくさん存在するのです。一部の不正受給している人たちの影響で、奇異の目で見られるのはとても残念なことです。

最低限の衣食住の生活を保障し自立のための支援をしてくれる国なのです。

ヤングケアラーと生活保護がテーマのドラマ感想

とてもいいドラマでしたね。主演の石田 莉子さん、目ジカラが凄い!ちょっと柴咲コウさんを思い出させるような印象。これから活躍しそうな気がします。18歳の駆け出し若手女優さんのようです。

転校してきた和真くん、とてもいい子でしたね。頑張って有名私立中学に入ったものの、本物の優等生や天才・秀才を目の当たりにして現実を知った…って凄い。

自分でそのことを判断出来て、自分が何者なのかを少しでも考えているなんて秀才や天才よりも凄いことだと思います。

このドラマでは、手を差し伸べる大人の存在がいました。樹希の家の担当ケースワーカー。カフェの2階を子供達の居場所として開放しているマスター。和真の塾講師で以前福祉の仕事をしていた湯川先生。

これこそが世の救い。和真も懸命に生活保護の事を調べますが、子供の力だけでは限界があります。人ってそんなに捨てたもんじゃない。手を差し伸べてくれる人もいるのです。そのことを教えてくれたドラマだったような気がします。

和真がそんな大人になってくれるような気がします。知識だけを埋め込むことが勉強ではない、役立つための知識こそ必要なんですね。ドラマでも言ってましたが、制度とは知らないと使えないけど、知れば使える。本当にその通りだと思います。後味のよい、ドラマでした!

追記:高橋一生もヤングケアラーだった!

5月中旬に結婚を発表した高橋一生さん。実は高橋一生さんもヤングケアラーだったそうです。奔放な母親だった為、年下の兄弟の面倒を見ていたそうです。そんな生い立ちでも今では立派な実力派俳優で、幸せな結婚をされた高橋一生さん。

心よりお祝い申し上げます。

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