ジャパンブルーの浮世絵師・歌川広重を描いたドラマ「広重ぶるう」

NHKBSで午後8:40~放送された特集ドラマ「広重ぶるう」ドラマの内容を深堀していきます。

ジャパンブルーの浮世絵師を描いたドラマの原作は?原作者はどんな人?

原作は梶ようこさん著書の歴史小説。2019年から2020年まで「東都の藍」という題名で連載されました。その後2022年に「広重ぶるう」として単行本が出ました。

「広重ぶるう」は、2022年本屋が選ぶ時代小説大賞にノミネート、2023年新田次郎文学賞受賞。今回ドラマ化された。

梶洋子さんってどんな人?フリーライターの傍ら小説を書いていた方です

出身地:東京都

2005年 「い草の花」 九州佐賀大衆文学賞を受賞
2008年 「一朝の夢」 松本清張賞を受賞で本格作家デビュー
2016年 「ヨイ豊」 直木賞候補、歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞
2023年 「広重ぶるう」 新田次郎文学賞受賞

その他の著書「みとや・お瑛仕入帖」「朝顔同心」「御薬園同心 水上草介」「ことり屋おけい探鳥双紙」「とむらい屋颯太」などのシリーズ作、「立身いたしたく候」「葵の月」「北斎まんだら」「赤い風」「我、鉄路を拓かん」など多くの著書を出版。

主に江戸時代を舞台にした小説を執筆。明治時代を舞台にしたものは「空を駆ける」。梶ようこさんご自身もモダンなお着物を身にまとった素敵な方です。

ジャパンブルーの浮世絵師を描いたドラマのあらすじは?

下級武士で生まれ家督を継ぎながら絵を描いていた歌川広重(阿部サダヲ)。地味な画風で絵は売れず、貧しい生活を送る毎日だったが、妻・加代(優香)は質屋に身の回りの物を売りつつ広重の製作活動を支える。

自分の着物はほつれを直して着用し、何の愚痴も言うこともない妻・加代は女房の鏡ですね。私なら愚痴ばかり言ってしまいそうです。

ある時版元からもらったうちわに使われていた「ベロ藍」という色に惹かれ、「東都名所」を出すが売れ行きは伸びない。

同時期には葛飾北斎(長塚京三)、歌川国貞(吹越満)という巨匠の存在があり、派手な美人画・役者絵全盛の時代。

親を亡くした政吉が弟子入りし、貧しくとも親子のように過ごす日々。

そんな折、妻・加代が質屋で知り合った版元で保栄堂の主人・竹内孫八(髙嶋政伸)の計らいで「東海道中五十三次」の風景木版画を発行し、大ヒット。2年先まで予約の取れない絵師になった。

やっと妻の献身の結果が出ました。広重も妻の質屋通いに気がつき、以前質屋に入れたものを全部取り戻してくれます。

幸せな日々が送れたところで、加代の身に…。

安政の大地震。災害に見舞われた江戸の再建の姿を描こうと広重は筆をとり描く。そして ベロ藍の広重の代表作「名所江戸百景」が完成する。

ジャパンブルーの浮世絵師を描いたドラマのキャストは?

最近大ヒットしたドラマ「不適切にもほどがある」で主役を演じ、強烈なキャラでいまだにその印象が残る阿部サダヲさん。

「広重ぶるう」では180度違うイメージの主人公を演じています。さすが実力派俳優の阿部サダヲさんですね。

【キャスト】

歌川広重 阿部サダヲ 火消しの家業に生まれ、傍らに絵を描く兼業絵師で後に歴史に名を遺す浮世絵師になる
加代 優香 広重の妻。献身的に広重を支えるつつましやかな妻。
安藤十右衛門 笹野高史 広重の祖父。広重と加代の夫妻と同居。妻の死後、しづを後妻にもらい、仲次郎を授かっている。火消しは引退している。
しづ 黒沢あすか 広重祖父の後妻。息子仲次郎がいる。
岡島武左衛門 勝村 政信 定火消与力であり狩野派・林斎として絵師。 広重の良き相談相手。
竹内孫八 高嶋政伸 保栄堂・主人。兄の質屋の手伝いで広重の妻・加代と出会い、絵師の広重を知る。保栄堂という版元を起こし広重に「東海道五十三次」を描かせ大成功させる。
葛飾北斎 長塚 京三 その名も知れた、日本を代表する浮世絵師。
歌川国貞 吹越 満 歌川一門の絵師で役者絵と美人画で人気の絵師。

豪華な顔ぶれの出演者ですね。北斎や国貞が実際どんな人物だったかはわかりませんが、何となくこんな人だったんだな、というのにしっくりくるキャストです。着物のチョイスや髪型も江戸時代のアーティストという感じでした。

ジャパンブルーの浮世絵師を描いたドラマで「ベロ藍」って何?

当時日本には無かった深い青、「ベロ藍」。ベルリンで作られた青と、ドラマでは説明していました。

18世紀初め頃にドイツのベルリンで発見された合成顔料。日本では18世紀中ごろに輸入されてきた。ベルリンで発見されたので「ベルリン藍」その後省略され「ベロ藍」と呼ばれるようになったのです。

「ベロ藍」の発見は偶然の産物!

1704年、ドイツ・ベルリンの染料業者が赤色の絵具の作成時に、調合に必要なアルカリが手元になかったので他の人のアルカリを借り、調合したところ、偶然にも青色が出来たのです。

赤色を作るはずだったのに青色ができたので調査したところ、借りてたアルカリは動物血液由来のものでした。それから製法がわかり、世界的に使われるようになりました。

それまで浮世絵ではつく草などの植物から抽出された絵具を使用していましたが、色褪せが激しい。高額な鉱物由来のものは浮世絵の価格には見合わないものでした。

「ベロ藍」は安価で浮世絵にはピッタリの絵具。透明感のある青が表現できるようになり、「ジャパンブルー」が後世に名を遺すようになりました。

ジャパンブルーは、ベルリンブルーだったんですね。

ジャパンブルーの浮世絵師を描いたドラマの感想・まとめ

ゴッホやモネにも多大な影響をあたえた歌川広重。有名な浮世絵師の名前は聞いたことがあり、絵も見たことがあります。ですが、あえて伝記を詳しく調べたこともなく、歴史の本で読んだこともありませんでした。

このドラマで浮世絵師の全盛時代の事が少し理解できました。NHKって本当に勉強になる番組つくりますよね。

ドラマなので役柄にキャラクターを設定してありますが、それがとても個性があって観やすかったです。実在はどうだったかは、興味があれば深堀していけばよいですね。

妻・加代が質屋で知り合った竹内孫八の淡い恋心がうっすらと描かれていて終盤には涙が出てしまいました。いつもは強烈な役柄でどちらかといえば悪役が多い高嶋政伸さんですが、このドラマでは広重にとって人生を左右するキーパソン。

広重というより、美しい妻・加代の手助けをしてあげたかったのでしょうね。

優香さんが演じた加代もつつましくて素敵な役柄でした。可愛らしい印象だった優香さんはもう大人の女性の演技で、少し額にしわもでていて、その年輪が自然で美しかったです。

時代劇でしたが、大変観やすくわかりやすく、夫婦愛と感動もありの素敵な作品でした。

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