代理母や卵子提供の生殖医療ドラマ「燕は戻ってこない」

人気作家の桐野夏生さん話題作「燕は戻ってこない」ドラマ化がスタートしました。

「燕は戻ってこない」ってどんな作品?あらすじは?

少子高齢化が社会問題となっている昨今。望んでも授からない夫婦。生殖医療が進む現代の光と影を描く話題作。原作は実力、人気が高い桐野夏生さんの小説「燕は戻ってこない」。

「命は誰のものか」と重いテーマを描き、第57回吉川英治文学賞・第64回毎日芸術賞をW受賞した作品です。

北海道の片田舎から上京して、地味な生活を送るリキ(石橋静河)。29歳独身、医療事務の派遣社員。もうすぐ派遣の契約満了。医療事務の同僚・テルの誘いでエッグドナー登録をすることに。

「プランテ」という外資系生殖医療エージェントに登録後、エージェントから誘いの電話が。エージェントを訪問すると、エッグドナーの話からサロゲートマザー(代理母)の提案をされる。

クラシックバレエダンサー・草桶夫婦は何度も流産をし、自力での出産を諦めた。妻・悠子は不育症と診断され、44歳という年齢で卵子も老化しているだろうと診断された。

夫・草桶基は元トップバレエダンサー。母親・千味子のプレッシャーもあり、バレエダンサーの遺伝子を残したい想いを捨てきれない。草桶

『この身体こそ、文明の最後の利器』小説に書かれていた言葉。リキは利器になるのでしょうか。

「燕は戻ってこない」の原作者はどんな人?他の作品は?

大人気作家の桐野夏生(きりのなつお)さん。女性の社会問題をフォーカスした作品を多く執筆している方です。

石川県金沢市出身で1951年生まれ。現在、日本ペンクラブ会長。

【主な小説作品】

1993年 「顔に降りかかる雨」 女性探偵村野ミロシリーズ第一弾。ミステリー小説 江戸川乱歩賞・受賞
1997年 「OUT」 人生からOUTした主婦たちの完全犯罪ミステリー 日本推理作家協会賞・受賞
1999年

「柔らかな頬」

幼児失踪事件のミステリー 直木賞・受賞
2003年 「グロテスク」 名門女子高の悪意と女の闇を描いたミステリー 泉鏡花文学賞・受賞
2005年 「魂萌え!」 還暦前に未亡人になった主婦の物語 婦人公論文芸賞・受賞
2010年 「ナニカアル」 戦時中の人気作家林芙美子を描いた作品 島瀬恋愛文学賞/読売文学賞・受賞

その他、柴田錬三郎賞、婦人公論文芸賞、谷崎潤一郎賞、紫式部文学賞、島清恋愛文学賞、読売文学賞を受賞と、数々の名だたる賞を受賞しています。

初期にはロマンス小説、ジュニア小説、レディースコミックの原作も手掛けていました。

「路上のX」もお勧めの作品です。いわゆるトーヨコキッズやミナミのグリシタを彷彿させる作品。桐野夏生作品は女性の社会問題をテーマにした作品を多く手掛けています。

「燕は戻ってこない」のドラマでサロゲートマザーって何?

代理母は2パターンあり、

①夫婦の精子と卵子を受精させて第3者の子宮に注入するパターン

②夫の精子を第3者の卵子に受精させるパターン…このタイプを『サロゲートマザー』と云う。(リキが提案されたのはこちらです)

現在、日本では法律上『代理母』を禁じてはいません。ですが、日本産科婦人科学会(日産婦)では1983年「体外受精の実施は夫婦に限り、受精した卵子はそれを採取した女性に戻す」という規則があり、非配偶者体外受精と同じく代理出産もまた、国内では規制されています。

  • 代理出産を認めている国は、米国の一部の州、ロシア、ジョージア、カナダ、ウクライナ、メキシコ、コロンビア、などがあります。
  • 費用は米国は約1000万円~2500万円ロシア・ウクライナの場合500万円~1000万円。(昨今の円安で価格は上昇していると思われます。)
  • 日本人の代理出産有名人は向井亜紀さん、丸山いずみさん、海外セレブではパリス・ヒルトン、キム・カーダシアン、サラ・ジェシカパーカーなど多数の方。
  • 卵子提供(エッグドナー)での妊娠出産は国会議員の野田聖子さん

日本では規制が厳しいので、海外での代理出産、国籍が2か国、養子縁組をしての実子というかたちになります。

ドラマ内でも、エッグドナーの場合であっても海外での施術になると言っていましたね。日本では生殖医療が商業的になってはならないという観点からも規制されている事項なのかもしれません。(健康面への配慮や他の理由もたくさんありますので、商業的理由は一部に過ぎません)

「燕は戻ってこない」のドラマの主演、石橋静河さんってどんな人?

主演の石橋静河(いしばししずか)さん、第1話では見事に地味で垢ぬけないリキを見事に演じていらっしゃいましたね。石橋凌さんと原田美枝子さんの次女です。

親の名声を覆すかのごとく、若手俳優として実力は確か。数々のドラマや映画で活躍しています。

15歳からアメリカやカナダへバレエ留学し、帰国後はコンテンポラリーダンサーとしても活躍。女優業は甘いものではないと親の姿をみて感じていたそうですが、2015年ごろから女優としての活動を開始。

  • 2017年映画「夜空はいつも最高密度の青色だ」で初主演、多くの新人賞を受賞。
  • ロックバンド・シーナ&ロケッツの物語、NHK福岡放送ドラマ「You May Dream」でシーナ役に。
  • NHK朝ドラ「半分青い」に出演。
  • 2021年にはドラマ「東京ラブストーリー」の主人公・赤名リカ役で話題になりました。

実力・実績とDNAを受け継いだ若手実力派女優ですね!

このドラマでは夢も希望もない、田舎から上京してきた地味な派遣社員を演じていますが、化粧っ気もなく垢ぬけなさと、不器用さを感じさせる演技派見事です。

「燕は戻ってこない」のドラマのまとめ

本日第1話が放送されました。原作を既に読んでいたので、イメージとピッタリというかイメージ以上のセッティングに驚いています。

キャストの皆さんも、小説で想像していたとおりの配役になっていて、NHKドラマ班は本当にすごいなと改めて感じています。

これから、小説では下世話に表現されていた登場人物も出てくると思いますがドラマではどういう演出になっているのか楽しみです。(放送できるの?と思う内容が小説にはたくさんあります)

リキが住む、湿った感じのアパートや対照的な草桶夫婦の洗練された生活環境。セットの細やかさも見どころのひとつです。2話以降も楽しみです。

 

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