NHKドラマ10「燕はもどってこない」では代理出産プログラムを提供するエージェントが描かれています。
エッグドナー・代理母出産エージェント、どんな会社?
ドラマ内では「プランテ」という会社が生殖医療エージェント。アメリカの会社で日本支社が設置されているという設定です。
「プランテ」日本支社の代表は青沼(朴 璐美)。リキ(石橋 静河)が恐る恐る訪問するとそこはピンクで彩られた鮮やかで豪華なオフィス。リキは怖気づいていました。
青沼役の朴 璐美(パク ロミ)さんは、舞台、映画、ドラマ、ナレーション、声優など幅広く活躍されている女優さんです。1972年生まれ、今年52歳のベテラン俳優さんですね。美しく貫禄がある風貌がエージェントの日本代表者という役にピッタリです。
リキは当初エッグドナーを希望しています。ドラマ内ではエッグドナーであっても日本国内ではなく、海外での卵子摘出手術になると言っています。エッグドナー(卵子提供)や代理母には30歳までという年齢制限があるようですね。
実際にはどうなのでしょうか?
実際に日本にはドラマと同じようなエージェントが実在します。エッグドナーや代理母の分野の専門スタッフが従事し、海外での施術や実施、出産後の養子縁組の法的手続き等を手厚く行っています。
ただし、高額という点でエージェントを利用できるか非かを線引きしているのが実態です。
エッグドナー・代理母出産エージェント、卵子提供は国内でできるの?
現在日本国内では倫理的観点から日本産科婦人科学会(日産婦)では1983年「体外受精の実施は夫婦に限り、受精した卵子はそれを採取した女性に戻す」という規則あり、違法でもなく合法でもないというのが現状です。
日本では、明確な法整備が行われていないのが現状です。
日本生殖補助医療標準化機構(JISART)に加入している医療機関では、卵巣摘出や早期閉経(加齢による閉経は含まれない)などによって卵子が作れない場合のみ、国内での卵子提供が実施されています。
しかし、その際は倫理委員会での厳しい審査が行われ、適正と判断された場合のみに限定して国内で実施されます。
法律で禁止されているのではないので違法ではありませんが、日本産科婦人科学会(日産婦)の規制があるので多くの医院では消極的なのが現状です。
日本生殖補助医療標準化機構(JISART)での審査に受からなかった場合や、その他の要因でエッグドナー(卵子提供)を希望する場合は、海外での提供という形になります。
コロナ渦以前は、
渡航して受診・採精→ドナーからの卵子提供・凍結→日本で内膜調整→渡航して移植
コロナ渦以降は
オンライン受診→ドナーからの卵子提供・凍結→空輸で凍結胚を日本へ→日本で内膜調整・移植
と渡航をしなくてもよいプランもでているようです。(エージェントにより諸条件は違っています)
エッグドナー・代理母出産エージェント、代理母って?
第3者(代理母)に受精卵を移植し、妊娠・出産を担ってもらうことです。
こちらは第3者(代理母)にかなりの身体的リスクが発生することもあり、かなり高額な報酬を支払う必要があります。
妊娠してからの医療費や生活費、さまざまな諸費用を支払わないといけません。米国での特定の州では代理出産が認められているので可能ですが物価が高いので割高になります。
そこで、物価が安い地域、アジア諸国やウクライナ、ジョージアでの代理出産だと若干費用は抑えられます。
カウンセリングを受け、かなりの出費を負担することが可能で夫婦共に海外渡航が何度か可能でなければできないハードルの高いプログラムです。
エッグドナーに悩むリキと悩まないテル
エッグドナーの話を持ってきた派遣同僚のテル(伊藤 万理華)
テルには奨学金500万円の借金があり、風俗のバイトもしている。卵子はただの物体。それで報酬がもらえるなら、その他のことは考えない方がいいと思っている。献血と同じだという。
テルは大卒だが、大卒だからといってよい就職先が必ずあるとはいえないという。
一方リキは北海道の介護職員だったが、夢を抱いて東京へ出てきたが派遣社員で手取りは14万円。テルからのエッグドナーの話に、いつの間にか自分の分身が増殖するのに抵抗がある。
卵子には遺伝子などが詰まっている、と躊躇している。
登録して、面接があり、本決まりになるという流れ。提供者になれば報酬として50万円が得られる。
大学を卒業した時点で500万円の借金。いくら金利が低かったとしても、500万円の借金は高額です。リキは手取り14万円、東京で一人暮らし。いくら家賃が安くても日々生活することで精一杯の金額です。
これはドラマだけの話ではなく、現実問題です。作者の桐野夏生さんは女性の貧困問題を実際に女性のインタビューや調査から真摯に向き合っています。
まとめ
生殖医療を描いたドラマ。子供が欲しい夫婦にとっては、何にも代えがたい医療です。
実際にウェブではたくさんのエージェントの情報があります。どれもエッグドナーはボランティアだったり、約2週間ほどの海外の滞在費を支払いますという程度しか記載されていません。
本当のところ、ドラマ内で言っていた50万円くらいの報酬があるのか非かはわかりません。しかし、貧困の女性が自分の卵子を提供して報酬を受けるなんて衝撃的な内容です。
ゆで卵、お湯で8分、水からだと15分で固ゆでが出来上がり。その卵じゃない、と言いたいけどなんだか生々しいゆで卵のシーン。2話楽しみですね。
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