結末はどうなる?モヤモヤ感や不快さで賛否両論のザワつくドラマ「燕は戻ってこない」8話

賛否両論のザワザワドラマ「燕は戻ってこない」第8話が放送されました。悠子(内田有紀)は罪悪感に苛まれて、基(稲垣吾郎)にリキの告白をばらしてしまうところからのスタート。

基は憤慨しリキのもとを訪れるが契約違反を犯したリキ(石橋静河)は、その重大性を理解しているのかいないのか自分自身への反省があまり感じられない態度。

どこか、他人が悪いと思っているのではないだろうかと思わせるように、切り札のように「堕胎する」と連呼することに違和感を感じます。モヤモヤ感と不快さマックスです。

リキが連呼する言葉は、子供を授かりたくて、不妊治療をしている人にとってはあまり聞きたくないワード。「命は誰のものか」をテーマにしたドラマです。

お金を出したから草桶家のもの、お腹に宿しているからリキのもの。…命って「もの」なのでしょうか。答えのでない繊細なテーマなだけに、観る人の視点で感じ方は人それぞれ。SNSでの声や8話の深堀を紹介します。

SNSでザワつく、モヤモヤ感、不快感、賛否両論の評価

自分本位の欲望が渦巻く個性的な人々。

  • 代理母出産を決断したリキは、都会生活で貧困から抜け出すお金の為。
  • 草桶基(稲垣吾郎)と母・千味子(黒木瞳)は、クラシックバレエの血筋を存続させるDNAの為。
  • 草桶悠子(内田有紀)は、愛する夫・基のDNAを継承する子供が埋めなかった罪悪感の為。
  • 生殖医療プランテの代表・青沼(朴璐美)はビジネス成功の為。
  • 悠子の親友りりこ(中村優子)は、代理母の行く末を鑑賞したい自分の欲求を満たす為。

登場人物全員が自分の欲求を満たす為に、「代理母出産」に関わることになるが決断した当初とは違い揺れ動く人々の感情。

X(エックス)ではこんな意見

「こいつら全員駄目だ」「みんな自分勝手で観ていて気分が悪い」「エゴの押し付け合い」「どう考えてもプランテが悪い、人の弱みや愚かさに漬け込んでいる」「矛盾とエゴと良心の呵責」「北海道の男も沖縄の男もクズだ」

別の意見としては、

「黒木瞳が演じる千味子が一番まとも」「稲垣吾郎の演技が素敵」「胎児のDVD見たら、産んでくれって当然言うよ」「意外と遺伝子継がなくてもバレエが出来る人になるかも」「リキ頑張れ!」

全体的にモヤモヤする!という意見が多いSNS。実はこれ、プロディーサーが狙った通りの現象なんです。

視聴者のモヤモヤ感を狙った板垣麻衣子プロディーサー

「没入感があって心がザワつく感じのドラマにしたかった」

                  板垣麻衣子プロデューサーのインタビューより引用

繊細で答えのないテーマなので、SNSがザワつくことを望んで制作したそうです。凄い意図、ドンピシャです!

ドラマ制作を時期に『生殖医療の保険適用範囲』が広がったり、『東京都の卵子凍結助成金』にとてつもない応募があった事実と、SNS上での『批判風潮に疑問』を感じていたとのことです。

少子化問題に関連することの一つとして、『卵子凍結助成金』。本当に日本の将来はどんどん高齢化社会になっているのが現実で、そもそも結婚したくない若者が増えていることも事実です。

結婚しなくても、後に妊娠したいときに若い時に採取した卵子を解凍して受精させる…ってことですよね。言葉にするととても人間味が無くって、書いててイヤな気持ちになります。

実際に出産した身からの意見としては「妊娠と出産は崇高な出来事」でした。何度か流産してあきらめかけた頃の自然妊娠だったので、命を授かるということの『奇跡』を感じました。

そして約10ヵ月間、つわりや今までに経験したことのない『何か=命』が自分の身体の中でうごめく経験は重く、深く、崇高なものだと思っています。

なので、代理母出産のモヤモヤ感は体感しています(笑)。だからと言ってなんでも批判することにもモヤモヤ。どうしても子供が授かりたいと思う気持ちも理解できます。そして科学が進歩した現在、自然妊娠の他にも選択肢はあっても良いとも思います。

SNS上での『安易な批判』は無責任な暴力にもなり得ます。その事が原因で、命を絶ったり精神的な病を患ったりすることも現実です。

板垣プロデューサーの狙いは深いですね。でもそれだけではない、ドラマの魅力はたくさんあります。

ディストピア、没入感、不気味さ、異世界を表現したドラマ

ディストピアとは聞きなれない言葉ですが、非人道的・恐ろしい世界・暗黒世界などの意味があります。いわゆる『理想』の真逆のような言葉ですね。

その象徴のような場面が、生殖医療エージェント「プランテ」のピンクで統一された異世界のようなオフィス。ここに足を踏み入れたら、もう出られないのよ、と言わんばかりの不気味さ。

そしてプランテ・代表の青沼のファッションも誰でもが似合うような衣装ではありません、これも異世界感を更に強調しています。朴璐美さんの優しくも妖艶な話し方と怪しさが、恐ろしさまでも感じさせます。

それから、悠子の親友・りりこ。『春画』というタブーなテーマを堂々と描き起こしている一風変わった画家。実家が医者の家系で裕福なので、病院の敷地内にあるアトリエ兼共同住宅にリキを住まわせます。

その住まいにはりりこの叔父など他にも人が住んでいるのですが、古い洋館で観葉植物がたくさん置いてある、これまた異世界。りりこのアトリエ部屋には浮世絵の春画やりりこの作品もたくさんあり、更に異世界。

リキはプランテを境に次から次へと異世界に没入していくような世界観に制作されています。もうそこからは抜け出すことが出来ないような不気味さが現実とのギャップを作り出し、ドラマの面白さを表現しています。

モヤモヤまとめ

ドラマもいよいよ残り2話になってしまい、モヤモヤ感はドンドン増し、不快感も更に。しかしこれはプロデューサーが意図したドラマ制作の大きなキーワードだったんですね。

まんまとハマりました。このドラマは「善」「悪」表現したものではないというのも大きなテーマです。この世の中には「善・悪」だけでは判断できないものや事柄がたくさんあります。

人それぞれの、倫理観や価値観、判断基準があり、それを批判する権利は誰にもありません。そのことを伝えたいプロデューサーの意図がドンピシャで視聴者に伝わっています。

それと、キャストの演技力の高さがドラマをより魅力的なものにしていますね。例えば主演の石橋静河さん、ぼーっとして何も考えてないでしょ!しっかりしなよ!と言いたくなるくらいの演技力。

稲垣吾郎さんや内田有紀、黒木瞳さんと実力派俳優の顔ぶれも見ごたえを感じます。

 

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